今回はキャニオニングにおいて重要な要素「ジャンプ」について説明していきます。内容的にはジャンプの楽しみ方ではなく渓谷を下って降りていくキャニオニングのためのジャンプについてになります。回転の仕方とかそういう内容ではないです。
安全に飛び込みながら渓谷を下って行くための内容になります。難易度の高い渓谷では需要なテクニックなのでキャニオニアの方はぜひ読んでください。
落下スピードってどのくらい?
ジャンプで水に着水する時どのくらいのスピードになっているんでしょう?気になりますよね。
5mの高さで時速約35km、10mの高さで時速約50km、20mの高さで時速約71kmほどと言われています。車で考えたら相当な速さですね。※正確な数値は調べればすぐ出せると思います。
ちなみにクリフダイビング世界記録の高さ58.8mだと時速約122km。ここまでいくとおそろしいですね。
水の中でどのくらいまで沈むの?
ヨーロッパのキャニオニングプロガイドに聞いたのですが、飛び込む高さや進入スピードに関係なく5mくらいまでしか沈まないそうです。意外と深く沈まないですね。水の抵抗力はすごいです。
5mまでしか沈まないということはジャンプが高ければ高いほど水中で体に強い減速力が働きます。
10mのジャンプで時速71kmで入水したら、たった5mの距離で時速0kmまで減速するということです。相当な減速する力が体に加わります。
基本的なジャンプのやり方
基本的なジャンプのやり方を説明します。
助走は最小限
キャニオニングの場合足場が悪いので走って助走は付けません。助走をとる場合は一歩分だけにしましょう。
片足で踏み切る
水面に対して垂直に入水するためには体の軸がぶれないようにする必要があります。両足踏切だと体を傾けてから踏み切ることになるのでバランスをとるのが難しくなります。片足踏切の方が体の軸を垂直に保ったまま踏み切れます。
体はコンパクトにまとめて衝撃に備える
川底に足が着いてもいいように軽く膝を曲げて着水します。着水の衝撃で脱臼等のけがをしないように腕は閉じ、足は両足くっつけます。
覚えてほしい3つのジャンプスタイル
キャニオニングで使うジャンプのテクニックを3つ紹介します。水深と高さに応じて使いわけるテクニックになります。
飛び込む前に必ずゴーグルで水中を確認し危険物がないかチェックしてください。またキャニオニングにおいて10m以上のジャンプは推奨されていません。
フラットジャンプ
これは体をフラットにして着水する方法。背中側の体全体で着水するイメージですね。腕は柔道の受け身のように水面をたたくように使いましょう。
フラットジャンプの飛び込む高さは1.5mが限界で、しっかりできれば30cmほどしか沈まないので低くて浅いポイントで有効です。
L字ジャンプ
これは体をLの形にして、下半身をフラットにして着水する方法です。フラットジャンプと同じで腕は柔道の受け身のように水面をたたくように使いましょう。
高さは3.5mほどまでが限界で、しっかりできれば1mほどしか沈みません。浅いけどフラットジャンプするには高すぎる場合に有効です。
エクスパンションジャンプ
これは着水し水の中に入った瞬間に体を拡げます。抵抗を増やし深く沈みこまないようにする方法です。高さがあり川底に着いてしまうかもしれない場合に有効です。
楽しさと危険性
ジャンプは好き嫌いが分かれる行為です。好きな人はほんとに大好きで、ジャンプするためにキャニオニングいく!なんて人もいるくらいですね。確かにあのスリルと達成感、とても楽しいです。
ただキャニオニングにおいて一番ケガのリスクが高い行為ということも頭に入れておいてください。失敗したときの損失度が高いのです。
私の知っているケガだと、着地で足が川底に着いて捻挫・骨折。着水の衝撃で肩脱臼。高いジャンプで入水した瞬間に横から流れを受けて膝を捻挫。高いジャンプで着水の角度が悪く背骨圧迫骨折。大きなケガにつながる可能性が高いです。
特に難易度の高い渓谷では非常に重要な考え方になります。例えば携帯電話の電波が入らない山奥、道路まで歩いて2時間、このような場所で難易度の高いジャンプをする必要があるのかどうか。楽しさのためだけにジャンプをするのであれば間違っています。ケガをすれば仲間に背負ってもらって渓谷から脱出する、時間次第では渓谷内で一晩過ごさなくてはいけないかもしれない、ヘリコプターやレスキューチームを呼んだ大がかりなレスキューになるかもしれない。飛ぶ前に自分の状況をしっかり考えましょう。
まとめ
ジャンプは非常に楽しいです。夏の暑い時期にきれいな冷たい水に飛び込むのはほんとに気持ちいいです。しかしケガのリスクも高いと覚えておきましょう。
今回はキャニオニングで渓谷を下っていくためのジャンプの方法について紹介いたしました。特にフラットジャンプ、L字ジャンプはかなり使えるテクニックです。難易度の高い渓谷では必要な技術なので練習してみてください。