キャニオニアが【懸垂下降】で覚えるべき5つのポイント

今回はキャニオニングにおいて非常に重要なテクニック「懸垂下降」についてです。

懸垂下降は難易度の高い渓谷や大きな滝を下りたい人には必須のテクニック。

キャニオニングでの懸垂下降
キャニオニングでの懸垂下降

これから紹介するポイントをしっかり意識できればスムースかつ安全な下降ができるようになります。

実際私は懸垂下降しながら色々なことを意識できるようになるまで5シーズンくらいかかりましたね。今でもプレッシャーの強いシチュエーションでは意識しながら下降するのは難しいです。

すごく参考にはなると思うので、ぜひこれから挙げるポイントを意識して懸垂下降してください。

目次

懸垂下降5つのポイント

ディッセンダーの使い方

ディッセンダーへのロープの通し方と外し方を覚えておきましょう。

ロープの通し方

ロープの太さ、下降場所の形状、シチュエーションによってディッセンダーのセットの仕方を選びます。

ロープの通し方によって摩擦の大きさが変わってきます。ガイドの説明や説明書をしっかり確認しましょう。

少なくとも以下の3種類は覚える必要があります。

  • 摩擦力少・・・太いロープやダブルロープでの下降に使います。
  • 摩擦力中・・・中間です。
  • 摩擦力大・・・細いロープなどで強い摩擦が欲しい時に使います。

シチュエーションに応じて自分で通し方をチョイスできるのがベストですが、少なくともガイドの指示通りの通し方ができるようになりましょう。

ディッセンダーの外し方

クラシックスタイルのエイトカン(PetzlのHuitなど)を使用している場合はロープからエイトカンをはずす際にエイトカンを落とさないように気を付けてください。常にロープかカラビナにエイトカンが通っている状態をキープすると落としにくくなります。

キャニオニング用のディッセンダー(PetzlのPiranaなど)はロープからはずす際にカラビナからディッセンダーをはずす必要がないのでこのような心配はありません。

また、泳ぎながらディッセンダーをロープからはずせるようにも練習しておきましょう。足場がなく泳ぎながらロープからはずすシチュエーションも良くあります。

ボトムビレイ

キャニオニングの場合、懸垂下降のためのロープシステムは極力シンプルな形にします。

理由は水があるからです。よって懸垂下降時のビレイ(安全確保)はボトムビレイといって下からロープを引っ張ることにより不慮の落下を防ぐやり方をします。

万が一にそなえ足場のいい位置からボトムビレイ

トップビレイでもう一本ロープを使って上から安全確保する方法もありますがスタック等した場合にレスキューが遅くなったり等の不具合があるので水流近くではあまり使いたくない方法ではあります。

一緒に下っているメンバーの安全確保という意味でボトムビレイのやり方は必ず覚えておいてほしいです。簡単に説明しておきます。

  • 安定している足場を選ぶ。
  • 常に懸垂下降している人を視認する。
  • 両手でロープを引っ張るように準備しておく。
  • 降りる方向を指示してあげる。

ビレイヤーがロープを引っ張りすぎると懸垂下降しにくくなるのでビレイヤーは適度にロープをたるませて持っていてください。

ロープの接触箇所

懸垂下降時に自分の使っているロープがどこかに接触しているかどうかを確認しながら降りてください。

もしかしたら鋭く尖った岩にロープが接触していてロープが切れてしまうかもしれない。

もしかしたら不安定な岩にロープが接触していてその岩を落下させてしまうかもしれない。

確認していれば回避できる可能性がかなり高まります。

安全面という意味で非常に重要なことです。必ずしもすごいスピードで下降すればいいというものではないと覚えておきましょう。

ロープが岩に接触するが危険度は少ない

実際私もロープが岩に接触し、岩が落下してきてぶつかったことがあります。幸い1mほどの落下距離で膝の少し上くらいの場所に当たったので大きなけがにはならなかったですが、そのあと何日は足に力が入りずらい状態にはなりました。人の顔より少し大きいくらいの岩だったかな。

フォールライン

懸垂下降で降りる時の下降方向の話です。基本的にはロープが自然に垂れ下がっている方向に降りましょう。もちろん例外はあります。

フォールラインを外れて下降すると、そのあと必ずフォールラインへ戻されます。その時にロープが振り子のようにスイングして鋭い岩であればロープが切れてしまう恐れがあります。他にも落石を誘発したり、下降している人は岩に叩きつけられたり。

60mの滝を下降、フォールラインはロープが垂れている方向

危険な要素がかなりありますので下降する際は自分のフォールラインをしっかり見極めましょう。

大きな滝を下降する時は要注意です。水流を避けてフォールラインを外れることがよくあります。

左右両手で下降できる

左右どっちの手を使っても懸垂下降できるようにしましょう。難易度の高い渓谷ほど必要な技術になります。

マルチピッチでの下降や足場の悪いアンカーポイントでは必須になってきます。

アンカーポイントに到着した際に、下降用のロープに近い方の腕を懸垂下降のブレーキハンドにしましょうということです。(専門用語が多くてすいません)

※もちろん例外もあります

足場が悪いのに利き腕にこだわると体勢が悪くなったり時間がかかったりするし、マルチピッチの場合は懸垂下降のブレーキハンド指定がある場合がほとんどです。

狭いアンカーポイント。右手をブレーキハンドにした方がスムース。

ほとんどの人は利き腕を使って懸垂下降した方がやりやすいと思います。私も3年前までそうでした。でも練習すれば考えているよりは違和感なくできるようになりますのでぜひ練習してください。

まとめ

  • ディッセンダーの使い方
  • ボトムビレイ
  • ロープの接触箇所
  • フォールライン
  • 左右両手での下降

以上5つのポイントを挙げました。

全部意識しながら懸垂下降するのは最初難しいと思うので一つ一つ確実に身に付けていきましょう!

実際に渓谷に行けなかったら家でイメージトレーニングもいいですね。もしくはポイントを意識して動画を見るとか。

おすすめのキャニオニング用ディッセンダーは左右対称で右手左手使いやすいEdelridのHannibal(ハンニバル)です。

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この記事を書いた人

キャニオニングをメインにアウトドアガイドをしています。

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